高専ロボコン 2020年 はぴ☆ロボ自慢
全国大会&近畿地区大会結果

ルール
 正式名は「だれかをハッピーにするロボットを作ってキラリ輝くパフォーマンスを自慢しちゃおうコンテスト」 競技時間(予選ラウンド2分間、決勝ラウンド3分間)内にロボットがパフォーマンスを行い、審査員が採点する。 パフォーマンスの内容は自由。時間内にナレーションやアイディアのプレゼンをしてもよい。 予選ラウンドの得点上位4~6チーム(数は地区によって異なる)が決勝ラウンドに進み、再度パフォーマンスをして最優秀賞と各賞を決定する。

全国大会
オンライン(バーチャル国技館 (Cluster) / YouTube / ニコニコ生放送)
11月29日
超優秀賞 シンクロシスターズ♪ 小山
超はぴ☆ロボ賞 チャリモ 沼津
アイディア賞 チアロボ 大分
技術賞 foldmachine 熊本(八代)
デザイン賞 鈴音 福島
アイディア倒れ賞 acrobox 長野B
ロボコン大賞 チャリモ 沼津
特別賞(本田技研) どんちゃか龍舞 長野D
特別賞(マブチモーター) connection 長岡
特別賞(安川電機) トイレスキュー 北九州
特別賞(東京エレクトロンFE) 明石新快速 明石A
特別賞(田中貴金属) 別子ブラザーズ 新居浜
特別賞(ローム) Run・Turn 秋田
特別賞(セメダイン) とどけ!ケーキゴーランド! 都城
司会 森田 洋平 (アナウンサー)
小島 瑠璃子 (タレント)
審査員 村松 浩幸 (信州大 教授)
後藤 景子 (高専連合会 会長)
田波 宏視 (NHK制作局長)
田村 哲也 (チームラボ最高技術責任者)
各校OB審査員 26名
ゲスト 田中 卓志 (アンガールズ)

近畿地区大会
オンライン(バーチャル会場 (Cluster) / YouTube)
10月18日 15:00~19:20
最優秀賞 はうすわ~か~ず 大阪C
アイディア賞 明石新快速 明石A
技術賞 バンドロイド 明石C
デザイン賞 洒落神戸 神戸A
特別賞(本田技研) マグロ教授 近大B
特別賞(マブチモーター) 薬支持 奈良B
特別賞(安川電機) OGch. 和歌山B
特別賞(東京エレクトロンFE) 洒落神戸 神戸A
特別賞(田中貴金属) 白刃鳥 和歌山C
特別賞(ローム) 明石新快速 明石A
特別賞(セメダイン) emPeror 舞鶴C
司会 狩野 史長 (アナウンサー)
審査員 古谷 達嗣 (大阪市日本橋少年少女発明クラブ 指導員)
釜道 紀浩 (東京電機大 教授)
櫻庭 弘 (仙台高専名取キャンパス 教授)
鈴木 心篤 (NHK制作局 プロデューサー)
近畿地区各高専OB審査員 7名
解説 衣笠 哲也 (岡山理科大 教授)
:全国大会出場

近畿大会概要
2019年末に確認された新型コロナウイルス (COVID-19)は2020年春には全世界へ拡大し、日本でも4月から5月にかけて緊急事態宣言が発令。 外出を出来るだけ控えるため、オンライン授業、在宅勤務、オンライン会議…等、あるゆるものがオンラインで行われるようになる。 他の教育機関と同様、高専も授業は休止・延期され、その後多くの学校でオンライン授業となった。 例年だと4月末の高専ロボコンのルール発表も緊急事態宣言の真っ只中のため延期され、5月31日開催予定だった学生ロボコン(国内大会)も延期(最終的にオンラインで実施)。 まだルールが発表されておらず始まっていなかった高専ロボコンは中止という選択もあり得たが、度重なる運営側からの延期連絡の文面からは、何とか開催したい意志が感じられた。 そして遅れること2か月、6月26日に今年のルール「はぴ☆ロボ自慢」が発表された。 本来は別のルールが用意されていたはずだが、当然製作が間に合わないし、人を集めるわけにもいかないので、代わりのルールを打ち出す必要があった。 マシンの規模縮は当然として、自由に考えたパフォーマンスを各校から生中継し採点するという、現状の限られた時間で制定・実施するには精一杯で、落としどころに落としたルールと言えるだろう。 「アイディア対決なんだったらもうパフォーマンス大会にすればいいだろ」という、昔からよく皮肉で言われていた内容そのものである。 パフォーマンスの採点は過去のロボコン(1997年「花開蝶来」、2000年「ミレニアムメッセージ」、その他審査員判定など)でもそうであったように、評価基準が不明確という課題がどうしてもつきまとう。 ルールにわざわざ「審査員が主観で点数化する」と明記しているあたりに、運営側もそれが問題になり得ること分かっている節が伺える。 かといって、いつものように何かしら統一された得点基準で行おうとすると、各校で用意するフィールドの精度や環境の違い、時間管理が問題となり、仮に実施した場合の問題の深刻さはこちらの方が大きくなるだろう。 終わってみると、地区間での得点の幅、地区大会と全国大会での得点傾向の違いなど、採点基準への疑問の声がやはり多く出たが、ルール制定側の時間も限られていたかかる状況下では、このルールしか無かったと言わざるを得ない。

今年はオンライン開催というルール自体が特殊で自由度が高いため初めてのことだらけなのだが、他に例年にない点をいくつか挙げると、
・1校最大4チームまでの参加が可能(例年は2チームまで)
・1チーム最低1名で参加可能
・地区大会では優勝相当が最優秀賞
・地区大会では準優勝相当の賞がない
・OB審査員の採用
・リトライがない
・圧縮空気の使用禁止
・自宅での作業にも言及されている
・COVIR-19対策にも言及されている
などがある。また、学校やキャンパスとして不参加でも構わないことが明示されていた。 高専ロボコン自体が強制参加ではないので、これまでも参加しないという選択肢はあったはずだが、今年は学校としてロボコンなどの活動を制限するケースが考えられたため、わざわざ記載したのだろう。 実際、釧路、苫小牧、国際、弓削は学校として参加自体を取りやめた他、1チームだけの参加とした学校も多く見られた。 一方で、通常よりも多い3~4チームで出場する意欲的な学校も続出。これらはいわゆる強豪校に限らず、各校様々な考えのもとに参加したことが窺える。 そして大会本番の撮影も各校で学生自身(あるいはロボット)が行う。 近畿地区では1999年~2001年にマシン紹介映像を自分達で撮ってNHKに送るということがあったが、本番映像自体を撮影するのは当然初めてのことである。 撮影は支給されたiPhoneのみが使用でき、外部マイクのみ接続可能。 これは映像の質の条件を合わせるためということだろう。 しかし通信回線まではそうはいかず、各校の演技場所の回線の強さが本番の映像のラグ等に影響を与える事例は実際に起こってしまった。 そして、これまでのようにロボットの性能だけでなく、撮影技術や本番中の学生達の言動も見ている側のパフォーマンスに対する評価に大きく影響を与えるため、「見せ方」というものにも頭をひねる必要がでてきた。 各チームのパフォーマンスには、大小はあれど総じて見れば過去最も人とロボットの関わりが求められたのではないか。 その点で、今年のテーマはCOVID-19中の単なる苦し紛れとして済ませるられるものでもなく、高専ロボコンの歴史の中で新しいハードルを示したものだったと言えよう。 このハードルは技術的なものではないからロボットコンテストにそのようなものは不要という意見もあるかもしれないが、ロボコンの本質は想像力を育て、ものづくりを楽しむことである。 自分達のマシンをよりよくし、よりよく見せるためにアイディアを出し合うことはずっと行われてきた。 見せ方に想像力を働かせ試行錯誤することも、決してロボコンの本質から外れているとは思えない。

採点の要となる審査員も例年とは異なる。 通常は各地区の大学教員、主管校付近の団体職員、各地区のNHKの部長クラスという3名体制だが、採点の主観を出来るだけ平均化するため審査員を5名とした。 この5名の内訳は、外部専門家2名、競技専門委員2名、OB審査員1名分となっている。 オンライン開催であるため、審査員も各地区の人間である必要はない。 どこの地区大会もほぼ、外部専門家は各地区の専門家と別地区の大学教員、競技専門委員会は別地区の高専教員とNHKプロデューサーという構成になった。 OB審査員も新たな試みである。ともすると単なる配信で終わってしまう今年のテーマに、出来る限り相互参加感を与えるため考えた結果なのではないかと推測する。 各校のOBを1名選出し、自身の出身校以外の採点を行い、OG審査員間で平均化した点が審査員1名分としてカウントされる。 ルールが発表されてから、やたら現役生に食事をおごろうとするOBが各地に大量発生したとかなんとか。 しかし例年のように明確な得点基準があるルールではここまでする必要はないため、OB審査委員が今後恒例になる可能性は低いのではないかと思われる。

各賞は優勝と準優勝の扱いが例年と異なる。 地区大会では優勝相当に最優秀賞が設定され、準優勝相当の賞は設けられなかった。 全国大会では優勝相当が超優秀賞、準優勝相当が超はぴ☆ロボ賞とされた。 その他のアイデア賞、技術賞、デザイン賞、協賛企業賞はいつもどおり。協賛企業審査員もオンラインでの参加である。 全国大会推薦は得点順ではなく、予選と決勝ラウンドを総合的に見て合議し決定される。 採点式であるため、当然、決勝ラウンドに進んだチームが全国に選ばれる傾向が強かったが、必ずしもそうとは限らない。

今年の近畿地区の地区開催順は第1週目。しかし午前中に東北地区大会(9:30~)、午後に近畿地区大会(15:30~)という開催だったので、時間はないものの2番手であった。 オンライン配信はYouTubeとClusterのバーチャル会場で行われた。 初めてづくしのルールであるため、どのような雰囲気、流れになるのか誰も分からない中の初週開催はまさに試金石。 特に午前の東北地区は相当のプレッシャーの中、パフォーマンスにも手探り感が滲み出ていた。 それでも一通りやると、見せ方の良し悪しが見えてくる。 午後の開催までの間に、近畿地区でもナレーションや画面へのフリップやスライドの表示などの導入・改良が行われたのではないだろうか。 このあたりも各校の地力が問われる部分である。 近畿地区の参加チームは舞鶴、明石、和歌山、大阪が各3チーム、奈良、神戸、近大が各2チームで合計18チーム。 決勝ラウンドに進めるのは予選ラウンドの得点上位5チームである。 オンラインではあるが主管校は大阪府大高専なので、選手宣誓も大阪府大の学生が行った。 解説は2年ぶりに岡山理科大の衣笠教授が帰還し、スタジオからオンライン参加。解説はこれで13回目となる。 パフォーマンス後に専門家ならではの質問を学生に飛ばす様は、さながら学会発表後の質疑応答である。 例年では試合後インタビューはリポーターが「今のお気持ちは?」をするので衣笠先生からの質問はあまり機会がないのだが、今回はリポーターなしなので、先生がポイントを掘り下げてくれて良かったのではないかと思う(一般の方はどう思うか分からないが)。 司会の狩野アナは3年連続3回目。不測の事態も起こる初めてのオンライン開催でも、落ち着いた大会進行とテンプレにおさまらないコメント力は見事。 もはや近畿大会に欠かせない存在と言っても過言ではないだろう。個人的には来年以降も是非お願いしたい。でもタージンもずっと待ってる。

予選ラウンドでは示し合わせたように41点が続出し、3位が6チームという事態になった。 決勝ラウンドに進めるのは5チームなので、この6チームにの中から3チームを選ばなければならず、休憩中に審議が行われた。 この6チームの中の最終順位は明確には示されなかったが、休憩後の順位表の各チームの並びを見ると、明らかに6チームで順位付けをして並べた後が伺えた。 確認できたのは神戸B、明石A、大阪B、奈良Aという順。従って、上の結果表では奈良Aまでの順位をこの並びとし、和歌山Bと大阪Aは同率7位として記載している。 予選ラウンドの平均得点は37.9点だった。決勝ラウンドは審議で各賞が決定するため、得点は出ない。 そして結果は、パフォーマンスの盛り上がりから多くの人が確信したであろう、大阪Cが最優秀賞に決定した。 大阪の近畿大会優勝は、2006年「ふるさと自慢特急便」の優勝(あーむすとーんろ→んぐ)以来14年ぶり4回目。 2013年~2018年の6年に及ぶ全国ブランクの後、2年連続の全国出場を成し遂げた。大阪の全国出場はこれで15回目となる。 14年ぶりの地区大会優勝は、近畿の過去の歴史の中では最長のカムバック。これまでは神戸の12年ぶり地区優勝(2014年)が最長だった。 なお近畿で地区優勝から最も時間が空いているのは意外にも舞鶴で、2003年「鼎」以降、8回全国大会に出場しているものの優勝はしていない。 仮に来年優勝すれば18年ぶりとなる。 全国推薦は明石Cと神戸A。明石も神戸も最近はほぼ毎年ベスト4以上に残っており調子が良い。 明石は3年連続10回目の全国で、3年連続は同校として初となった。 更に明石Aも競技委員会推薦で全国出場。競技委員会推薦は近畿地区では初。これで今年の近畿地区は3賞が全て全国に出るということになった。 神戸の全国は2年ぶり10回目。決勝ラウンドに残った神戸Bではなく、予選ラウンド敗退の神戸Aの方だったため、本人達も驚き戸惑いも少し見せていた。 明石と神戸はそれぞれアイディア賞とデザイン賞を受賞し、これもそれぞれ2年連続の受賞である。 また、明石は技術賞も受賞(アイディア賞とは別チーム)。 同校から3賞(アイディア賞、技術賞、デザイン賞)を複数獲得することはあまりない。 過去の近畿の例では、1998年に熊野(現近大)が技術賞とデザイン賞を、2010年に奈良がアイディア賞と技術賞を受賞している。 近畿地区では約10年に1度の珍しさと言えるだろう。 近大は全国ブランクを14年に更新。このブランクは現在全国で4番目。これまでは沼津と同率で並んでいたのだが、今年沼津が地区優勝したため単独での4位となった。 地区大会恒例のエキシビションは当然ながら今年はなしだった。

大会はオンライン配信だったので、大会映像そのものがYoutubeにそのまま残っている。 テレビでの番組放送では、この映像に各校で撮影したマシンの説明映像が少し加えられていた。

近畿大会出場マシン
舞鶴A#鶴散希望
 ロボットによるサーカスがコンセプト。最近舞鶴でよく使われている黄色つなぎのメンバーが黄色い蝶ネクタイをつけ、それっぽさを演出している。 演目は輪くぐりと坂登り。決勝ラウンドに進んでいたらまた別の演目があったのかもしれない。 輪くぐりは1台のマシンが輪を投げ、もう1台が自動でくぐるというなかなか高難度な方式。成功しているところを見たかった。 坂登りは、輪をくぐる方のマシンが急こう配の坂を登り、最後にいいねマークとリツイートマークを出して拡散を希望するという流れになっている。
成績
近畿大会
予選ラウンド8番目30点
 サーカスらしく薄暗い部屋で音楽を流しスポットライトを当てた演出を試みたが、音が聞こえづらく映像も見えづらいものとなってしまった(その後のインタビューも受け答えができなかったため、回線そのものの問題も大きいかもしれない)。 薄暗いとカメラの性能的に映像が悪くなるのは宿命なので、演出をとるか映像をとるか難しいところ。 輪くぐりは2回挑戦したものの失敗。そのまま坂を登るも滑って落ちそうになったため神の手登場。 しかし時間内に何とか最後まで進めることができた。
受賞

舞鶴B舞花
 動きまわる2台のロボットと花のロボットで日常の幸せを表現したチーム。 ロボットはLEDで表情や感情が表現されており、花ロボは後半で伸びて花開き、紙吹雪が吹き出すようになっている。 おそらく花を育て開花を喜ぶストーリーなのだろう。
 90年代後半以降のゴリゴリのロボコンとは異なり、勝負や他のチームは一切関係なく、まだ若いメンバーが自分達の表現したいものをただ純粋に作ったように見える。 近年の複雑化した高専ロボコンにあって今年は一気に規模と敷居を下げたため、このようなチームは近畿以外にもいくつかあった。 来年以降のテーマは今年同様にはならないだろうが、高専ロボコンの役割である発想とものづくりを楽しむ場に、飛び込んでくる若者達がいることはとても喜ばしいことである。
成績
近畿大会
予選ラウンド11番目30点
 花ロボの周りを2台のロボが動き回り、最後は花が開くかと思ったが…開かず。紙吹雪も本当はもっと高く上がるはずだったらしい。
受賞

舞鶴CemPeror
 ロボットによるピアノとカスタネットの演奏をバックに巨大二輪のロボットが動き回る…のだが回線不調でピアノマシンと二輪は殆ど映らず、元気なカスタネットばかりの映像となってしまった。カスタネット強い。 カスタネットは人間の指のような機構で3方向から叩くようになっており、終始動き続け音も良く出ていたので非常に目立つ。 ピアノロボも沢山の指を備えて作り込んでいたようなのだが、映像アングルが低めで全容が見えづらかったのが残念。
 去年から協賛に参加したセメダインが地区の協賛賞を出すのは今年から。このemPerorが近畿地区初のセメダイン賞となった。
成績
近畿大会
予選ラウンド12番目34点
 見どころ説明では字幕付きタブレットも用意し準備万端。リーダーの後ろから各マシンの設計者が出てきて順次説明していく。こういう所にも芸を仕込むのが近畿地区らしい。 字幕タブレットは前日テストラン時には使っておらず、音声が聞こえづらいチームが多発していたので急遽用意したのだろう。これには狩野アナと衣笠先生も感心しきり。 しかし本番は回線が悪く、カスタネット以外の音は途切れ途切れで、ピアノと二輪ロボの映像も切れていき最後はカスタネットだけになってしまった。 配信側のメンバーにはその状況が分からないのが辛いところ。
受賞特別賞(セメダイン)

明石A明石新快速

 関西以外の方には馴染がないだろうが、新快速は関西と東海の一部における重要なJR長距離快速電車である。 主要都市のみに停車し、特急電車並みの速度ですっ飛ばすのに特急料金は無し。東海道線・山陽線沿いの移動は新幹線を使わずとも、この新快速があれば事足りるのだ。
 そんな庶民の移動手段である電車内の吊り革を自動で消毒しようというマシン。マシン名の読みは「あかしんかいそく」。 吊り革が吊り下げられたポールの上を移動し、円形の布巾で吊り革を両側から挟み込んで布巾を回転させ消毒する。 ポールに取り付いての移動は、2017年の明石Aの虫ロボを思わせる。 光センサで吊り革の位置を検出しやすいよう、吊り革の紐は黒色の物を使用し、ポールには白テープを貼って明暗を付けている。 このポールに使われているのは物干し竿なので、去年の使いまわしだろう。 また、床掃除用の小さなロボットも2台あり、自動で動き回る。これがどのように制御されて、実際にゴミを掃除したりしているのかどうかは、パフォーマンスからは見て取れなかった。電車の車内の雰囲気が出るよう、車内座席を模した椅子も配置していた。
 近畿大会では全国推薦はならなかったが、競技委員会推薦を近畿地区で初めて獲得し全国大会へ出場。 全国大会仕様では、ボックス席や電車のドアなどの背景も製作し車内をよりリアルに再現。 吊り革を挟む機構はハの字開きから上下開きに改良され、カメラの画像認識で人が持っている吊り革の掃除は避けるなど、意欲的な機能追加がなされた。
成績
近畿大会
予選ラウンド5番目41点
 最初にスライドでアイディアの背景を説明し、その後マシンを動かしながらナレーションで動作を説明。 決勝ではより派手なパフォーマンスを見せると引いて、得点は41点。41点は6チームで並んだが、審議の結果決勝ラウンドに進むことが決定した。
決勝ラウンド2番目
 車内アナウンス風の呼び込みから始まり、会場の照明を落として音楽と共にマシンが動き出す。 吊り革掃除ロボットはLEDをカラフルに光らせるゲーミング掃除ロボットと化した。 床掃除ロボットも光りながら移動し、光で明の文字を描く。 本来は実用機能がメインのマシンに、今大会で他にも見られた音楽パフォーマンスと光の絵も盛り込んだ欲張りなパフォーマンスだ。
受賞アイディア賞、特別賞(ローム)
全国大会
予選ラウンド19番目34.1点
 車内を再現したセットにサラリーマン風の学生が乗り込んでくるところから始まり、寸劇感も加えられている。 地区大会同様、ナレーションでロボットの説明しながらパフォーマンスが進行。 物干し竿ではない実際の車両の吊り革支持構造にも対応できる機構を作っており、決勝で見せるはずだったのだが、決勝進出ならなかったため披露される機会は無かった。 東京エレクトロンFE賞を受賞。全体的に点が伸びなかった近畿勢の中で唯一の受賞である。
受賞特別賞(東京エレクトロンFE)

明石B日月体育大学
 今年も明石は何かしらマシン名をひねる。日月体育大学と書いて、読みは略称の「めいたいだい」だ。 3台の小さなロボットがマトリクスLEDを光らせながら集団行動を披露する。 マシンの上部にはARマーカーが付いており、本来はこれで各マシンの位置を制御するはずだったようだが、調整が間に合わなかったためPCからの半手動操作で動かすこととなった。使っていないもののARマーカーは残している。 直進や回転などのコマンドをPCから送信するとマシンがそれに応じた動きをするので、それを組み合わせてパフォーマンスを組み立てている。
 若いチームであり、限られた活動時間の中での完成に苦労した模様。本来は16台のはずだったマシンも3台まで減らしたとのこと。
成績
近畿大会
予選ラウンド15番目35点
 明石Aのすぐ隣でのパフォーマンス。白いフィールド内を3台のマシンが動き回る。 1台のLEDが光らず、何度かフィールドを外れて行き過ぎることもあり、予定通りのパフォーマンスとはならなかった。
受賞

明石Cバンドロイド

 ロボットが楽器を演奏するというパフォーマンスは他にも見られたが、このチームはメンバー3人も一緒に歌う。 マシン名のとおり、ちゃんとバンドするコンセプトなのだ。 演奏する楽器は、エレキギター、電子ピアノ、電子ドラム、そして周波数制御で音を出し主旋律を奏でるブラシレスモータ。 ブラシレスモータ以外は実際の楽器に機構を取り付けて演奏している。 エレキギターはフレットを抑える機構と、弦を弾く機構がついており、電子ピアノは約1オクターブ分の鍵盤に対応した左右に稼働する指機構で弾く。 電子ピアノの高音部は、地区大会では製作が間に合わなかったのかメンバー以外の人間が片手で弾いていた。 電子ドラムはモータの回転をリンクで上下運動に変えて3つのドラム(タム、スネア?、シンバル)を叩く。
 全国大会仕様では、エレキギターのフレット押さえ機構はネックに沿って移動するようになり、電子ピアノの鍵盤部も高音側が装備され、より人間の演奏に近い動きを実現した。 電子ドラムを叩く機構も、ソレノイドらしき機構に変えられている。 更に、ベースギターと2つのステッピングモータ、そしてサイリウムを振るロボットも追加されるなど、大幅に改良された。
成績
近畿大会
予選ラウンド9番目→18番目44点
 前日のくじ引きでの本来の順番は9番目だったが、回線トラブルで最後の18番目にまわしてもらった。明石はどのチームも回線が不調だった。 演目はパプリカ(Foorin)。高専生が歌うという展開にネット上では多少の衝撃が走っていた。 映像が止まったりもしたが、各機構の完成度は十分に伝わっただろう。最後の演順に44点で予選2位に滑り込み決勝ラウンド進出を決めた。
決勝ラウンド4番目
 曲はロボコニストのテーマ曲「無我夢中」(トータス松本)。まさにこれしかない勝負曲と言えよう。 大きなトラブルなく演奏を終え、見事技術賞と全国推薦を獲得した。
受賞技術賞
全国大会
予選ラウンド22番目28.6点
 地区大会の曲はミディアムテンポだったが、全国予選ではアップテンポな「天体観測」(BUMP OF CHICKEN)を演奏。 テンポが速いほど機構が追いつきにくくなるはずだが、それだけ改良されたのだろう。 回線の強い部屋に変更するなど対策もしたようだが、本番で映像と音が大きく乱れた。こうなるとアップテンポ曲は影響が大きく出てしまう。 決勝ラウンド進出はならなかった。
受賞

奈良ATetra
 ロボットによるテーブルクロス引きパフォーマンス。 定加重バネを引いてエネルギーを貯め、解放して一気に降ろすことでテーブルクロスを引き下げる。 テーブルクロスには、掴みやすいように輪っかが取り付けられており、これにフックを引っ掛けて保持する。マシンからクロスを外すのはさすがに手動だ。 名前のとおり、マシンは三輪オムニで、テーブルクロスの上に積まれたプラコップも三角状に配置されている。 プラコップに入っているのはスライムの模様。最初のテーブルは2段で、次は3段、4段、そして最後は紙皿も挟んだ3層タワー。 3層タワーとは言っても、カップは合計6段積まれており、1個だけで支えている段も4つあるので難易度はかなり高い。 決勝ラウンドに進んでいれば、更に高難度のテーブルが用意されたはずだが、どのようなものだったのだろうか。  前日テストランではナレーションが無かったらしく、1日(あるいは午前中の東北地区を見て)で用意したようだ。 しかしとても急ごしらえとは思えないほどまとまっており、この辺りに地力が感じられる。
成績
近畿大会
予選ラウンド7番目41点
 3段タワーで1つだけ転倒したが、それ以外はミスなし。最後の3層タワーも終了時間ギリギリに成功させた。 技術的には十分高かったが、パフォーマンスは一瞬、アングル的にどうしてマシンがあまり見えないなど、魅せるパフォーマンスとしては少々弱かったかもしれない。
受賞

奈良A薬支持
 アップダウンのあるフィールドを小さなマシンが駆け抜け、患者のもとに薬と水(と書かれたオブジェ)をお届けする。 小さなマシンながら、昇降するメカナム駆動輪で階段を4段上がり、物干し竿にぶら下がってロープウェーのように谷を越える。 谷に落ちているのは、去年の大会で使われた洗濯物だ。 このように過去のルールの小道具を再利用するアイディアは、全国的にもいくつかのチームで見られた。 最後にスロープを降りた先に患者がおり、薬と水を置いてゴール。 マシンの側面には薬師寺(奈良に所在)の絵が描かれている。
成績
近畿大会
予選ラウンド2番目40点
 最初、音声が途切れ気味だったがパフォーマンスは問題なく終了。 竿を渡った際に部品が落ちて、衣笠先生がそれについて質問したものの、音声が通じず回答は聞けなかった。 奈良は2チームとも体育館でやっていたので、そこのネット環境が良くなかったのだろう。
受賞特別賞(マブチモーター)

和歌山AVIRUS・ばすたーず
 人間の体内で免疫細胞がウイルスを駆逐する様子をミニロボコン風に再現。 風船をウイルスに見立て、リンパBロボ、キラーTロボ、キラーTから分離する小型ロボを有線で操作する。 リンパBは飛び道具を飛ばして風船を割り、キラーTは前後する銛で風船を割っていく。 キラーTが通れなかった小孔をリンパBが開き、キラーTの入れない細胞内には、キラーTから分離した小さなロボット(グランザイム)が入って風船を割る、という実際の細胞の働きに準じたストーリーを展開。 ウイルス風船には手も付けるなど細かいところにもこだわっている。
成績
近畿大会
予選ラウンド1番目38点
 近畿大会1番目でかなり緊張していた様子だったが、細胞の働きを解説しながら一通りの動きを予定どおり披露しきった。 大会中にはこのチームだけ各審査員の得点内訳が出ず合計点だけが表示されたが、番組放送では内訳も映されていた。
受賞

和歌山BOGch.
 人間の上半身の形をかたどったおじいちゃんロボットと孫ロボットの共演。 おじいちゃんロボがなかなか高性能で、表情は変わるし、首は動くし、腕は緻密に動いて筆ペンで文字も書ける。 テーマはゆるいが、特に文字を書く腕機構の作り込みはなかなかのもの。 最初はメガネをかけておらず表情も見えないが、メガネをかけると目が見えるという演出になっている。 メガネを手動でかける際に、背中の非常停止スイッチをバーンと叩くのは、安全面では正しいのだがなかなかシュール。 孫ロボはナレーションの文字が書かれたフリップをめくるオシゴト。ナレーションの自然な語り口も高専生らしからずなかなか雰囲気に合っている。
成績
近畿大会
予選ラウンド14番目41点
 おじいちゃんロボが書いた文字は和歌山の和。歌山は上からフリップを被せて補完しているのだが、よく見るとおじいちゃんロボが左手で押して動かしている。 緻密に動く腕はまさに安川電機賞に相応しい。
受賞特別賞(安川電機)

和歌山C白刃鳥
 その名の通り白刃取りの一芸披露なのだが、紀州弁全開の煽るようなナレーションで一部の人には大ウケのパフォーマンス(コント)だった。 刀をキャッチするマシンだけでなく、刀を振るマシンも作っているのだが、なぜか刀ではなく鹿威しを振る。 しかし前述のナレーションが合わさると鹿威しもかなりしっくりくるのが面白い。 白刃取りマシンは人間の上半身の形をしており、大きく広げた腕が特徴。しかし真ん中に乗っている頭は鳥のそれなので、あくまで鳥である。 恐らく手の先に付けた光センサで鹿威しを検出し、手を閉じて挟み取るようで、ここは技術的な工夫があるはず。 しかし意図的に失敗させることもあり、それを上手く使って2分間のコント劇に仕上げている。
成績
近畿大会
予選ラウンド6番目37点
 これは是非Youtubeの映像を見てほしいところ。「自分達でも下らないパフォーマンスだなと思っていた」そうだが、 狩野アナは「僕は好きです」。衣笠先生も「僕も好きです」。私も大好き。衣笠先生に至っては「涙出た」と目尻を擦っていた。 決勝ラウンドに残るほどの点は付かなかったものの、審査員Bは10点満点をつけており、ネタとしては十分にウケていたようだ。 番組放送で「まだギリギリ友達に自慢できる程度だと思いますので」がカットされていたのは残念。
受賞特別賞(田中貴金属)

大阪A府大だんじり
 戦争以来75年ぶりの中止となった岸和田だんじりを相撲に見立てて再現しようというパフォーマンス。 山車の形をした2台のマシンを操縦して土俵で押し合い相撲を見せる。 2台のマシンの足回りは、片方はオムニクロウラー、もう片方はタイヤ(前輪駆動)と変えて違いを出している… と、本当は両方ともクロウラーのはずだったのだが、大会前日に片方のクロウラーが破損し、急遽タイヤに変更した結果だそう。 しかしこれはこれで差別化となって良かったように思える。 マシンの前面には大きなマトリクスLEDがあり、猫のような表情が現れる。モデルは山車の屋根についている獅子噛だそうだが、かなり可愛らしいデザインだ。 加速度センサで衝撃を検出し表情を変えるなど、技術的にもこだわっている。
成績
近畿大会
予選ラウンド16番目41点
 学生2人の実況解説付きでマシンの入場から開始。相撲をしながら、アイディアや技術的なポイントも解説していく。 当初の予定でどちらが勝つはずだったのかは分からないが、試合の後半にオムニクロウラーの片側が破損してしまい、最後に押していたタイヤ型の勝利となった。 パフォーマンス後にはオムニクロウラーの裏側と横移動用オムニホイールも見せてくれた。
受賞

大阪Bpainter
 約10m×5m程度の黒いフィールドに、色鮮やかな散り紙を散らして大きな絵を描く。 色はオレンジ、緑、紫、水色の4色で、計4台のマシンが各1色を担当する。 マシンは3輪オムニで、1台は自動制御。残り3台は無線で人が操作している。散り紙をコンベアに載せておいて、少しずつ落としているようだ。 前日テストランではフィールドは白系の紙だったようだが、見栄えが悪いとということで黒に変更。これは良い判断で、鮮やかさが引き立つようになった。 散らす散り紙も1色ではなく、濃淡で2色使っているのが華やかに見せるポイントだ。色使いについてはかなりセンスが垣間見える。 また、マシンには散り紙と同じ色のパネルや色鉛筆の装飾が付いていて、非常にカラフルに仕上がっている。
成績
近畿大会
予選ラウンド4番目41点
 関西ノリ盛り盛りの大阪Cの後に、このように静かで綺麗系のパフォーマンスが来るのも運命か。 自動機はフィールドを横断する虹と鳥を描き、手動機は残りの虹の線と「ロボコン」の文字を描いた。 テストランまでは自動機の制御等で苦戦していたようだが、調整が実を結び本番を綺麗に決め決勝ラウンドへ出場。
決勝ラウンド1番目
 決勝に残れると思っていなかったらしく、マシンもナレーションもぶっつけ本番とのこと。 少しトラブルもあったようだが、3分あるため無事に虹と鳥、そして「2020」の文字を描くことができた。
受賞

大阪Cはうすわ~か~ず

 大阪人が人をハッピーにさせるとなると、まず考えることは1つしかない。 笑わせて、ハッピーに、という関西人なら誰もが納得のコンセプトは、他チームと決して被らない唯一無二のアイディアである。 昨年大活躍した地元のアイドル、おばちゃんを今年も大々的にフィーチャーし、次から次に繰り出されるアクションとノリノリの解説で見ている人を釘付けにする。 ロボコンのコンはコントのコンやったんや。
 シーンに応じて複数のマシンが登場するが、これらは全ておばちゃん型。 洗濯機(去年のOSAKA OBASANの自動機がモチーフ)に洗濯物を投げ入れるおばちゃん、ネギでフライパンを叩いて旦那を起こすおばちゃん、コンロでフライパンを振って料理を放り投げるおばちゃん、マスクやウェットティッシュをバズーカやガトリングで発射するおばちゃん、ネギを持って買い物に行く歩行おばちゃん、添い寝おばちゃん…何台ものおばちゃんロボが怒涛の勢いで登場する。 歩行おばちゃんは2009年「ダンシング・カップル」で全国出場したオバチャンバラのマシンを踏襲している。 また、背景のセットも単なる壁と思いきや換気扇がついていたり、2019年のパロディポスターを貼っていたり細かい所にもネタが仕込まれている。
 大阪は昨年、7年ぶりに全国出場を決め、そして今年は14年ぶりの近畿地区優勝を成し遂げた。 勢いというものはやはりあるのかと思わせる展開。まして大阪の勢いともなると容易に止まらなさそうである。
成績
近畿大会
予選ラウンド3番目46点
 ここまでの登場チームは緊張が見られたが、このチームは試合前説明もパフォーマンス中の解説もテンションマックスで言葉にも迷いが無い。 試合前の説明では作業着を着ていたが、パフォーマンスにあたってスーツを着用。司会と解説であるおばちゃん研究家の2名の実況でパフォーマンスを進行する。 テンポよく5つのおばちゃんパフォーマンスを完遂し、叩き出した得点は46点(うち1人は10点)。 パフォーマンス後のインタビューでは勢いのまま決勝の意気込みまで語り、衣笠先生は冷静に「これで行けなかったら悲しいですけどね」と述べたが、無事予選1位で決勝進出を決めた。
決勝ラウンド5番目
 期待が高まる近畿大会最終パフォーマンス。解説席はおばちゃん愛好会会長に代わった(実際に解説メンバーも交代)が、全く緊張しないノリノリのナレーションは相変わらず。 大阪の芸人の層の厚さが窺える。 歩行おばちゃんから始まり2歩歩いたところで転倒。すると即座に横から担架がやってくる。 上手く歩ければOK、転倒しても笑いに変える、転んでもただは起きないさすがの構成力だ。「11年前はこけなかったんですけど」というコメントもうまい。 その次のシーンのセール品売り場でのネギ振りバトルは完全にオバチャンバラの再現。 最後まで勢いは衰えず、見事最優秀賞に輝いた。
受賞最優秀賞
全国大会
予選ラウンド25番目28.4点
 パフォーマンス前の見どころ説明が完全に芸人の自己紹介。準備完了時には「【速報】府大高専OK表明 試合開始」というフリップを出すなどネタの仕込みが良すぎる。 実況席は司会と解説のおばちゃん研究家、そして特別ゲストにミニおばちゃんロボ。 パフォーマンスは近畿大会の予選と同じだが、最後に実況席のミニおばちゃんロボが動いて喋るという動きが追加されていた。 パフォーマンス後には2019年のパロディポスターもこじるり本人にばっちり拾ってもらえた。 ところが得点はあまり伸びず28.4点。他の地区最優秀チームがほぼ30点代後半の中、30点を割っている。 マシンのアイディアや技術に特徴が見いだされなかったのか、それとも関西の笑いが受け入れられなかったのか。 得点が主観評価であることはルールにも明示されているが、あまりにも地区大会と差があると、地区最優秀賞とは何だったのかとなる。 来年以降は何らかの改善を期待したい。

神戸A洒落神戸


 宇宙…かな…。手拍子にのせたハロウィンテイストロボットの旗振りダンスと高専生のマッスルダンスのコラボレーションは見る者を曼荼羅の世界に誘い新たな精神観への境地をひらk要するにかなりカオスだった。 近畿大会はハロウィンが近かったけど、全国大会だと完全に時期が終わっているので全国大会ではどうするのかと思いきや、洒落神戸の解釈を「髑髏」から「御洒落」に変えて、煌びやかな神戸の夜景をバックにしたまとまりのあるダンスに仕上げてきた。 上記のとおり全国版はメンバーが動画を上げてくれているので、そちらを見て頂きたい。 近畿大会のカオスが見たいという人はYoutubeへ。
 マシンは足回りマシン2台と、表情の変わる旗振りマシン2台の計4台。旗振りマシンは最初は足回りに乗っていて、最後に障害物の壁にドッキングして足回りと分離するのが見せ場。 マシンの位置は、マシンと障害物の上部のARマーカーをカメラで読み取ってコントロールステーションPCで制御している。 あまり見た目に派手さはないが、複数マシンが接近して動き回り、障害物に接触するのは制御上細かい調整が必要だったのではなかろうか。 旗振り機構は見事な曲げ加工の円状アルミ角パイプレール上をスムーズに移動。この円状角パイプはマシンのフレームとしても使われており、デザイン上の特徴にもなっている。 近畿大会でのデザイン賞受賞は、あちこちに施された装飾のみならずこの曲げ加工も評価ポイントだった。
 フィールドの背景にもかなり力が入れられている。 地区大会後のメンバー変更も可能だったため、もう1つのBチームも合流して全員がAチームとなり、特に背景は大規模に改良された。 LEDテープによるネオンのような六甲山やKOBEの文字が、おしゃれな神戸のイメージを演出している。 更に神戸の中心部と人工島をむすぶポートライナーを模したモノレール「SHARE-KOBE-liner」(実際のポートライナーはモノレールではなく路面のゴムタイヤ駆動)や指揮棒を振るマシンも設置。 指揮棒マシンにはBチームのセンスの面影が見える。 神戸のランドマークであるポートタワーも控え目に置かれているが、これは2016年「ロボット・ニューフロンティア」の時に作ったシンボル。 神戸ロボ研のユニフォームにも描かれている神戸の代表建築であり、使いまわしが効いて良い。 また、BGMに合わせたロボットの動きやカメラワークも入念に練られている。スムーズにアングルを変えつつ移動して違和感なく見どころに視点を誘導するのは見事。 かなり研究と工夫の後が見られる。 なお、前述のBチーム合流によりメンバーが倍増したため、全国大会のパンフレットのメンバー一覧が神戸だけおかしいことになっている。
成績
近畿大会
予選ラウンド17番目37点
 足回りマシンが1つに問題があったため、1つは旗を振るだけで動かさず、代わりにメンバー2人に後ろで踊ってもらうことに。 最初はスティックバルーンで踊っていたのに、途中でバルーンを放り投げてマッスルポーズを決め出したところからもうマシンに目がいかなくなった。 しかし最後はメンバーも引っ込んで映像がマシンだけになったのでようやくマシンに集中できるように。 BGMもナレーションも無しで手拍子だけで最後まで通したのはなかなかシュール。 コントロールステーション用のPCの画面をプロジェクタで後方のスクリーンに映していたが、これは殆ど見えなかった。
 豊かな装飾とARマーカーを用いた制御技術を評価されて全国推薦を得た。 神戸Aは決勝ラウンドには進めなかった一方、もう1つの神戸Bが決勝に進んでいたので、全国推薦が決まった時には「A?Bじゃなくて?」と本人達も驚いていた。 決勝ラウンドに進まず全国推薦を得たのは、神戸A、都城B、長野B(競技委員会推薦)だけである。
受賞デザイン賞、特別賞(東京エレクトロンFE)
全国大会
予選ラウンド10番目24.4点
 カメラを4台にして、ロボットやセットだけでなくコントロールステーションPCでのARマーカー検出の様子も映すようにした。 更に見どころナレーションも追加。 最初は順調に動いていていたが、50秒あたりで2台とも足回りの動きが止まってしまい、パフォーマンスを続けられない事態に。 原因は不良バッテリを誤って使用してしまったためのようで、管理方法の課題が浮き彫りとなった。 よりによって本番で…というのがロボコンの怖いところだ。

神戸B忍ばKnight


 大掛かりなセットを舞台に息つく間もなく(主にナレーターが)繰り広げられる忍者活劇。 アク・ダイカニストに乗っ取られた城と伝説の刀を2人の忍者が取り戻すというストーリーだ。 忍者ロボは2台で、手裏剣投げタロウと忍ばKnight。敵ロボはアク・ダイカニストと、その他ハリボテのモブ多数となっている。
 操作するマシン3台は全て無線。 青の手裏剣投げタロウは手裏剣を投げる飛び道具機構だけでなく、刀(2017年のちゃんばらキングネオ?)も振り回す。 赤の忍ばKnightは特に攻撃機構は持っていないようだが、三輪オムニで刀を持ったまま機敏に動いて敵を攻撃。 忍法矢の雨の発動時には天井から敵に矢が降り注ぐ。この矢は恐らく2017年にカニロボが使用した物だろう。 アク・ダイカニストは敵キャラなのでハリボテで工数削減するよな。
 カメラは3台使用し、1台は鳥観、1台はマシン視点、3つ目はスライドによるマシン・ストーリーの解説字幕を映す。 情報量が多いうえに展開が早く、見る方も追うのが大変なのだが、セットは壁や橋、掛け軸、ふすま、床の間、回転扉など大量に作り込まれている。 回転扉は忍者屋敷の定番。どんでん返しや瞬間移動といった忍術の見せ場の演出にも一役買っている。 しかも予選と決勝でセットを組み替えて舞台を変えているので、準備も当日のセッティングもかなりの作業量があったものと思われる。 メンバーはドンキで買ってきたカラフルな忍者の衣装を着用。 床の間には過去のロボコンの小道具を並べるなど芸が細かい。 やりたいこと、作りたいものが沢山あって、それを全部詰め込む意欲を感じさせるチームだった。
成績
近畿大会
予選ラウンド9番目41点
 1つ前の明石Cが回線のトラブルで最後となったため、急遽出番が回ってきて慌ただしく準備をしている様子から始まった。 最初のマシン説明は音声が聞き取りづらかったが、スタンバイ中に補足説明してくれる衣笠先生が優しい。 前日テストランではうまく動いてなかったらしいが、ハイスピード展開のままトラブルもなく、20秒も余裕を残してパフォーマンス完遂。 敵城に忍び込んだが伝説の剣はまだ取り戻せておらず、決勝へ続く引き。 41点で6チームが並んだが休憩時間の審議後の順位表では3位の場所に位置づけられており、決勝ラウンドで続きを見せられることになった。
決勝ラウンド3番目
 後半の伝説の刀編はフィールドセットを組み替えて、新たなシーンでの展開を見せる。 セッティング前にトラブルがあったようで、それを「忍者が迷子です!」と言うあたり機転が利いている。 相変わらずのハイスピードで回転扉を使った瞬間移動や、回転剣術(突進)といった技を繰り出しながら、ラスボスのアク・ダイカニストも一瞬で切り伏せてわずか1分半で伝説の刀を奪還。 最後には紙吹雪も飛び出した。決勝ラウンドのナレーションは殆どアドリブだったらしい。
受賞

近大Aショッピー
 コロナ渦でのお買い物を手助けしてくれる遠隔買い物ロボットがコンセプト。 UFOキャッチャーのように上から掴むハンドを持った有線マシンがミカンやリンゴなどの果物を取り込んで買ってきてくれる。 居酒屋のタッチパネルよろしくノートPC上に買い物メニューを作っていて、そこから選ぶところから始まる。 メニュー表を見ると、他にもカップラーメンやコーラ、ザクロもあった模様。 本当は注文から取るところまでを自動でやることに挑戦していて、ギリギリまで製作していたようだが間に合わず。 前日に急遽有線手動操作に切り替えてなんとか本番では動かすことができた。
成績
近畿大会
予選ラウンド10番目29点
 「今日はミカンとリンゴ安いからミカンとリンゴ買おうかなぁ…」という関西弁ナレーションのナチュラルさにやられました。 リンゴは取れたが、ミカンは転がっていってしまい時間内には取れず。 自動で取れていたらなかなかのものだったろうが、手動にするとどうしても引き立たない。これは選んだテーマの宿命だろう。
受賞

近大Bマグロ教授
 近畿大学がクロマグロの完全養殖に世界で初めて成功したことは一般的にも有名であり、同大の一押しPRポイントでもある。 このマグロをキャラクターに使って腹話術の独り漫才をするのがこのチーム。 「オンライン授業 マグロと私」と書かれた黒板の前で、白衣を着た学生と教卓に置かれた見たまんまマグロのマグロ教授が漫才を繰り広げる。 マグロは白衣の学生がリアルタイムで操作しており、手袋に取り付けた曲げセンサが指の動きを検出しマグロの体や口を動かしている。 マグロの声は、学生の声にエフェクトをかけてその場で再生しているようだ。 近畿地区だとロボ漫才はいくつか出てもよさそうだったが、結果的にはこのチーム1つだけだった。
成績
近畿大会
予選ラウンド13番目36点
 音声エフェクトが効き過ぎていてマグロ教授の声が殆ど聞こえなかったのが残念。 最後にマシントラブルネタで締めるのが高専ロボコンらしいが、「"また"トラブルか~」は自虐のようで、笑っていいものか少し悩んでしまう。
受賞特別賞(本田技研)

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